日光金谷ホテルで開催された『ピアノびっくり箱コンサート』の模様をレポートします。会場となった館内のバンケットホールは、びっくりするほどの大入り満員。この日の著者・樹原孝之介の連弾相手は大嶋浩美さんです。彼女はピアニストであり、ヴァイオリニストでもあるので、連弾あり、ピアノ&ヴァイオリン・デュオありと、曲によって異なった編成で、さらに『びっくり箱』の曲想を広げてくれました。
コンサートの第一部は、2冊出版されている『ピアノびっくり箱』の収録曲を、国別に分けて聴かせていくという、面白い趣向のプログラムでした。『ピアノびっくり箱で巡る世界の国』と題されたこの第一部は、日本を出発して、アメリカ、ヨーロッパを巡って、また日本に帰ってくるという流れで、まさに音楽の世界旅行です。具体的には日本(さくら、荒城の月)、アメリカ(ドレミの歌、エーデルワイス)、オーストリア(きよしこの夜)、ドイツ(喜びの歌)など、耳に馴染んでいる曲ばかりですが、国など意識しないくらい有名な曲ばかりなので、こうして国別に並べて聴くのは、イメージがより膨らんで新鮮です。
第二部は、出演者である二人が、それぞれ思い入れの深い楽曲を披露するソロ・タイム。大嶋さんはラフマニノフとショパンを、そして樹原孝之介はドビュッシーを選び、個人的な思い出とともに、名曲の世界観を個性的に描きました。その後はまた二人の共演となり、樹原孝之介が所属するバンド、くりーむぱんだの「虹」(熊本震災復興支援ソング)や樹原孝之介の「Sillage de rêve」を、さらにアンコールでは、著者の母親である作曲家・樹原涼子さんの作品など、バラエティに富んだ楽曲が聴ける楽しいコンサートとなりました。
コンサート終了後は、出演のふたりの関連楽譜やCDへの即売サイン会が行われ、長い行列ができました。もちろん2冊の『ピアノびっくり箱』は大人気です。2種類の伴奏でまったく違った雰囲気を作り出す『ピアノびっくり箱』の世界を、それまで知らなかったお客さんが、今日の実演で面白く感じていただけたのか、2冊まとめて購入される姿も多く見受けられました。